[随時更新]教養として学べる数学関連のおすすめ書籍たち(17冊)

はじめに

大学生の頃は経済学部だったのですが、専門分野に向き合うにあたって数学の知識が重要だったので、その頃より数学関連の書籍に関心を持つなどしていました。当時、経済学をまともに学ぶためには最適化数学・線形代数・確率論・集合論など幅広く知っていないといけなかったので、当時は青春の日々を捨てて図書館に籠ることを選びました。余談ですが、夜の大学って野生動物がけっこう出没するので油断できなかったですね。
ここでは、数学を鍛えるための本と、教養として知識を豊かにするための本の両方を紹介したいなと思います。マセマ出版の本は大体みんな持っていると思うので、ここでは紹介しません。
それなりに勉強したからか、データサイエンティストとして働く際にそんなに負い目を感じることはなかったです。原理を知ろうとすると数学は避けて通れないので、結局のところ必須の知識なんじゃないかと思っています。

数学を鍛えるための本たち

『証明の楽しみ 基礎編: 数学を使いこなす練習をしよう』


ミクロ経済学では証明問題をコースワークで取り組む必要があるので、訓練するために買いました。そんなに難易度の高いものではないですが、練習問題もそれなりにあって、楽しみながら鍛えることができたと思います。

『微分積分学の基礎』


経済学や統計学ないし計量経済学で必ず必要な微分について学べる本です。大学の時に理系の友達に譲ってもらってやり込んでいました。めっちゃ難しいわけではなく、程よい難易度の本です。数理統計学で必要な重積分もカバーしています。

『演習線形代数 (サイエンスライブラリ演習数学 2)』


これも友人にもらった本で、とにかく演習の数をこなして力をつけることができました。線形代数は経済学や統計学で必須だったので、手を動かしてしっかり学べたのはよかったです。

『集合と位相 そのまま使える答えの書き方』


ミクロ経済学では集合・位相に関する証明問題が出てくることが多いので、プライドを捨てて便利そうな本として買いました。すごくわかりやすかったので、答案を書く自信を養うことができると思います。

『位相への30講 (数学30講シリーズ)』


連続性やコンパクト集合など、微分での最適化の話で必要な位相について理解を深めるための本です。文系学生でもギリギリわかるような説明の仕方なのが好印象でした。すごくいい本なのですが、大学院を修了する際に知人に譲ってしまいました。

“A First Course in Optimization Theory”


洋書ですが、最適化数学を学ぶ際に図も多く、説明も丁寧で理解が捗る良書でした。大学院を修了する際に知人に譲ってしまいました。制約付き最適化問題は経済学だけでなく、統計学や機械学習でも使える一生モンのスキルですね。

“Optimization in Economic Theory”


ディキシットさんの経済学むけの最適化数学について書かれた本です。古くて理解しにくいですが、自分が最初にクーンタッカー条件を学んだ本で愛着があります。コンパクトな本なので、賢い人にはちょうどいいかもしれません。

“Econometric Analysis”


グリーンの計量経済学の本ですが、アペンディックスが優秀で「行列の微分のやり方」など、他の書籍にはなかなか載っていないような内容が書かれています。その他にも一通りの分布・数学的な手法の説明が載っています。

『弱点克服 大学生の確率・統計』


この先生(伊藤清先生のお弟子さんのようです)の授業を受けていて、何も見ずに黒板をひたすら書くことから天才だなぁと感心しました。授業も面白かったので、本を買ってみようと思い買いましたが、本当に無駄なく確率や統計について演習問題を通じて鍛えることができる良書でした。アクチュアリーとか受ける人がバイブルにしそうな気がします。

『はじめての確率論 測度から確率へ』


マクロ経済学で測度論を学ぶ必要があったので、単位を取ろうと買った本です。測度論アレルギーがあったのですが、この本はわかりやすく、文系でも頑張れるようなものでした。私は、どうしても直感的に理解できなかったので、連続の概念について、サイコロで離散のものとしてイメージして理解するチャレンジをしていました。大学院を修了する際に知人に譲ってしまいました。

教養として知識を豊かにするための本たち

『図説 世界史を変えた数学:発見とブレイクスルーの歴史』


図形、無限、微積、確率、周波数解析、グラフ理論、カオス理論まで幅広く扱われていて、数学のことがより一層好きになれる良書だと思います。ニュートンとライプニッツの確執や、早起きが苦手なデカルトの話、インド人がかつて考えていた0で割ったものの解釈など明日から飲み会で使えそうなネタが満載です。アルゴリズムって言葉の由来が一番びっくりしました。「アル=フワーリズミー」って人名だったなんて。あと、音楽で12音階(C,D,S,F,G,Hの半音ずつ)が12乗してオクターブで2:1の音程になるようになっているのも、音楽をやっているものとしては目から鱗でした。

『数学は役に立っているか? (『数学が経済を動かす』日本企業篇)』


企業において、実際にどのようにして数学が役立っているのかを知れる本です。いろんな業界が取り上げられているので、読み物として普通に面白いです。就活の際に、データやアルゴリズムを使って頑張っている企業の例を言えるようにしたかったので買いました。

『怠け数学者の記 (岩波現代文庫)』


大学の廃棄本コーナーに置かれていてつい手に取った本の一つですが、フィールズ賞を受賞した小平邦彦の数学者としての私生活や心情を綴ったもので、小学生に集合を誤った認識で教えるのは良くないというアメリカの教育に対する批判も垣間見えます。あと、大学で行われていたとされる、ナッシングセミナーというのが面白そうでした、とりあえず集まって話すみたいな。自由な大学での情景が浮かびました。

『数学のロマンが詰まった 夜も眠れないほど面白い18の数学エピソード ロマンティック数学ナイト』


過去に一度だけ、友人に連れられてロマンチック数学ナイトというイベントに参加しましたが、そのイベントの集大成である書籍です。私が見に行った会のネタも載っていました。ちょっとどころではなく、確実にイタい発表もありますが、数学のエンターテイメントとしての楽しみ方を気付かされる本です。数学の落語とか漫才みたいなのもあるみたいで、奥深い世界です。

『とんでもなく役に立つ数学』


数学を使って社会問題を解いてみたいと思える内容で、どうやったら渋滞はなくなるかとかを具体的な説明が簡易なアプローチで紹介されています。自分はビジネスマンとして業務をする際も数式やモデルでどうにかできないかと考えたりするので、少しはこのような本の影響はあったのかなと思います。

『論理パズル101―推理の楽しさ、ひらめきの快感 (ブルーバックス)』


毎月ある大学院の院生寮の集会のとき、めちゃくちゃ暇だったので、暇をうっちゃるものとして買いました。けっこう夢中になって取り組めるパズルで、たぶんボケ防止とかになると思います。下手なゲームよりも面白いです。

『THE BIG QUESTIONS Mathematics』


これまでに学んできた数学と、その延長線にあたりそうな内容が混ざっていて、未知の領域が身近にあるのだなと実感できるような本です。中高生までだと、数学は完成した学問だと思ってしまいそうですが、こういう本でまだまだ進化する学問なのだと実感できます。