[Stan]ロジスティック回帰の階層ベイズモデルとk-foldsクロスバリデーション

はじめに

stanは意思決定のための分析などでのパラメータ推定に使うことが多く、機械学習のために扱うことはありませんでした。ただ、過去にリク面などでお話したデータサイエンティストの方はstanで機械学習していて、クロスバリデーションもしているとの発言をされていました。
先日、記事を漁っていたらstanでクロスバリデーションを行うためのコードを書いている方を見つけたので、その方のコードをもとに大人のirisであるwineデータを用いて、質の高いワインかどうかを分類するために階層ベイズでのロジスティック回帰モデルを回してみたいと思います。

データについて

UCI Machine Learning Repositoryにある、赤ワインの評価と成分のデータです。データに関する説明はワインの味(美味しさのグレード)は予測できるか?(1)で丁寧になされていますので、ご確認ください。今回は6点以上であれば1を、そうでなければ0を取るものを教師データとしています。

分析方針

今回は階層ベイズモデルを扱うことから、グループごとにロジスティック回帰のパラメータが異なるという仮定を置きます。そのために、citric.acidというデータを3つのカテゴリデータに変換して、それをグループとして扱います。モデルでは、今回のデータセットの変数を全て回帰項として使います。もちろん、回帰用の式からはcitric.acidは除外します。
全体の80%を訓練データに、20%をテストデータとして、10foldsクロスバリデーションでのstanによる予測結果の平均AUCを評価指標とします。最後に、テストデータを用いた予測のAUCを確かめます。また、階層ベイズモデルではないモデルでの10foldsクロスバリデーションでのAUCとも比較します

分析概要

・データ整形
・訓練データとテストデータの分割
・クロスバリデーション用のデータの作成
・stanの実行
・クロスバリデーション結果の出力
・テストデータでの予測
・非階層モデルとの比較

全体のコード以下のリンクにあります。
kick_logistic_regression_allowing_k_hold_cross_validation_hierachical.R
logistic_regression_allowing_k_fold_cross_validation_hierachical.stan

データ整形

階層ベイズで扱うグループをcitric.acidから作っています。

訓練データとテストデータの分割

ワインの質に関するバイナリーデータをこちらで作成し、80%を訓練データに、20%をテストデータに分割しています。

クロスバリデーション用のデータの作成

こちらのコードでは任意の数でクロスバリデーション用のデータを作成し、stanで扱う訓練用データのlistに追加しています。
また、参考にしているブログより転用したstan_kfoldという関数を定義しています。k分割した際のstanの推定結果をリストに格納するための関数です。

stanの実行

こちらのstanのコードでは、M個のグループごとにパラメータが異なるというモデルを書いています。modelブロックの途中でholdoutを入れることで一部のデータを推定に使わないようにしています。

こちらはstanをキックするためのコードです。いつもと違い、先程定義したstan_kfoldを用いています。

クロスバリデーション結果の出力

以下は、k個ずつ手に入ったクロスバリデーションでの推定結果から、各パラメータの平均値を計算し、ロジスティック回帰モデルで2値の予測を行い、平均AUCを計算するコードです。

平均AUCは0.675となりました。すごくいいわけではないですが、手抜きモデルとしてはまずまずと言ったところでしょうか。

テストデータでの予測

以下のコードで最初に分けていたテストデータでの予測結果を返します。

実行の結果、AUCは0.665と、クロスバリデーションでの平均AUCと比べてあまり下がりませんでした。

非階層モデルとの比較

非階層モデルでも同様に10foldsクロスバリデーションの平均AUCを計算しました。非階層モデルよりもAUCが1%ポイントくらいは高いようです。

おわりに

現時点において、stanでの柔軟なモデリングを機械学習に活かす作法について紹介されている文献はあまりなく、選手人口はどれくらいいるのか気になるところですが、発見したブログのやり方でクロスバリデーションをカジュアルに行えるので、より多くの方がstanでの機械学習にチャレンジしうるものだなと思いました。ただ、このレベルの階層ベイズだとrstanarmで簡単にできてしまうので、より深く分析してモデルをカスタムしていきたいですね。

参考情報

[1]Lionel Hertzog (2018), “K-fold cross-validation in Stan,datascienceplus.com”
[2]Alex Pavlakis (2018), “Making Predictions from Stan models in R”, Medium
[3]Richard McElreath (2016), “Statistical Rethinking: A Bayesian Course with Examples in R and Stan (Chapman & Hall/CRC Texts in Statistical Science)”, Chapman and Hall/CRC
[4]松浦 健太郎 (2016), 『StanとRでベイズ統計モデリング (Wonderful R)』, 共立出版
[5]馬場真哉 (2019), 『実践Data Scienceシリーズ RとStanではじめる ベイズ統計モデリングによるデータ分析入門』, 講談社

[Python]機械学習などでテキストデータを特徴量にする際のソースコード集

テキストデータの特徴量化について

仕事ではテキストデータを多用するので、機械学習などで扱うためにテキストデータを特徴量にするためのアプローチを色々と整理してソースコードを残しておきたいと思います。今回はあくまでも私の知っているものだけなので、網羅性はないかもしれませんが悪しからず。
(2019/08/18 追記)Stackingをカジュアルに行えるvecstackというモジュールを用いた予測も試してみました。下の方の追記をご覧ください。

アプローチ

テキストデータを特徴量にする際のアプローチとしては、以下の3つが良く使っているものとなります。
・単語ベース
・クラスタ、トピック、分散表現ベース
・文書間の類似度ベース

今回扱うデータ

ひょんなことから、昨年10月くらいに取りためたマンションの施設情報のテキストです。

緑色が印象的な某不動産紹介サイトをクローリングしました。全部で1864件ほどの文書数となります。

加えて、デザイナーズマンションかどうかのフラグを作成しました(17%くらいがデザイナーズマンションの割合)。これでもって、マンションの施設情報からデザイナーズマンションかどうかを分類できるかチャレンジしたいと思います。
ここにデータを置いていますので、興味のある方はご利用ください。

今回扱うモデル

ランダムフォレストです。10foldsクロスバリデーションによるAUCの結果を各手法のスコアとして扱います。

こちらは、任意の手法に関して10foldsクロスバリデーションで実行し、AUCのグラフを生成してくれるソースコードです。主にscikit-learnのサイトに載っているものです。引数のclassifierをsklearnの任意のモデルのインスタンスで渡せば動きます。

単語ベース

シンプルに単語をそのまま特徴量にするというものですが、文書によっては単語数が多すぎて収集がつかないと思います。そこで単語を簡単に選択できるDocumentFeatureSelectionというパッケージを利用します。

このパッケージでは
・TF-IDFベースの特徴量選択
・PMI(Pointwise Mutual Information)ベースの特徴量選択
・SOA(Strength of association)ベースの特徴量選択
・BNS(Bi-Normal Separation)ベースの特徴量選択
を行うことができます。

まずは今回のベースラインとして、単語のカウントベースでの特徴量を扱いたいと思います。
その前に、GitHubに上がっているデータに対して以下のように簡単な前処理をしておきます。

ようやくベースラインの予測となります。以下のコードを実行すると、ROCが描かれた図がJupyter上で表示されます。

AUC82%というのはベースラインとしてはなかなか強敵なのではないでしょうか。

さて、本題の特徴量選択パッケージの適用をするためのソースコードを以下に記します。

以上のソースコードを実行すれば、tf_idf_scored_df、pmi_scored_df、soa_scored_df、bns_scored_dfにスコアを付与された単語のリストが手に入ります。

ここでは各スコアに関してアドホックに閾値を設けて、特徴量として利用することにします。

TF-IDFベースの特徴量選択

PMIベースの特徴量選択

SOAベースの特徴量選択

BNSベースの特徴量選択

クラスタ、トピック、分散表現ベース

続いて、k-meansやLDAやword2vecを用いて特徴量を作成する方法です。今回はk-means、ミニバッチk-means、LDA、FastTextによる分散表現を扱います。

k-means、ミニバッチk-means

LDA

こちらはgensimでLDAを推定し、推定したトピックの割合をデータフレームで返すコードです。

トピック数をとりあえず30個くらいに指定して推定したトピックの割合を特徴量として文書分類を行います。そのため、特徴量の数は30個になります。

FastTextによる分散表現

今回はデータ数が少ないことから、学習済みの分散表現を用います。日本語のコーパスに対して、FastTextで推定された分散表現となります。学習済み分散表現はこちらから拝借しました。

分散表現は単語に対して計算されるので、単語に対して分散表現を足し合わせたものを特徴量として扱います。ここでは分散表現の合計値、平均値、TF-IDFで重みを付けた平均値の3つのパターンを試します。

合計値ベース

平均値ベース

TF-IDFで単語を重みづけた平均値ベース

文書間の類似度ベース

今回は、デザイナーズマンションの定義文に似ているかどうかという観点で類似度ベースの特徴量を作ってみたいと思います。

今回は変数が一つだけなので、機械学習はせず、デザイナーズマンション割合との関係を図示するにとどめておきます。横軸がデザイナーズマンションの定義と施設情報の類似度で、縦軸がデザイナーズマンション割合です。

どうやら、途中でデザイナーズマンション割合がピークを迎えるようです。

おわりに

最先端の手法は調べれていないですが、テキストデータを特徴量に落とし込む手段を備忘録として残しておきました。今回あげた中では、SOAベースの特徴量選択のAUCが83%と一番高かったですが、ベースラインが82%と僅差でした。そして、分散表現形のものは80%に届いた程度です。余力があれば新しい特徴量の作り方が分かり次第アップデートしようと思います。

追記

“Automate Stacking In Python How to Boost Your Performance While Saving Time”という記事を見つけたので、紹介されているvecstackモジュールを使って今回のモデルに関して簡単にstackingしてみようと思います。
コードに関しては、こちらのGitHubに上げています。試してみた所、AUCは88%になりました。結構上がりましたね。しかもコードはめちゃ短いので楽です。

参考文献

[1]Julian Avila et al(2019), 『Python機械学習ライブラリ scikit-learn活用レシピ80+』, impress top gear
[2]Receiver Operating Characteristic (ROC) with cross validation
[3]@Kensuke-Mitsuzawa(2016), “テキストデータで特徴量選択をする”, Qiita
[4]JapaneseTokenizer 1.6
[5]DocumentFeatureSelection 1.5
[6]自然言語処理における自己相互情報量 (Pointwise Mutual Information, PMI)
[7]【Techの道も一歩から】第3回「第11回テキストアナリティクス・シンポジウム」
[8]文書分類タスクでよく利用されるfeature selection

Uplift Modeling用のパッケージtools4upliftを使ってみた

はじめに

今回は、今後仕事で使いたいという思いもあり、RでUplift Modelingに関して便利なパッケージがないか探した結果、2019年に登場したばかりのtools4upliftの存在を知りました。アップリフトモデリングのモチベーションに関しても簡単に説明しながら、サンプルデータで実践してみようと思います。

・Uplift Modelingとはなにか
・Uplift Modelingの卑近な例え話
・Uplift Modelingのサンプルデータ
・tools4upliftについて
・tools4upliftでCriteoデータを試してみる
・『仕事ではじめる機械学習』の9章のコードをCriteoデータに試してみる
・おわりに
・参考文献

Uplift Modelingとはなにか

きちんとした説明は、あまりにも今更感があるので説明は端折りたいと思います。既出の文献がありますので、そちらを熟読ください。

Uplift Modelingの卑近な例え話

自分が吉野家のマーケティング担当だとしましょう。吉野家のアプリで割引クーポンを顧客にばらまくことができるとします。
マーケターとして重要なのは、割引クーポンを渡したことをきっかけとして吉野家に足を運び購入する顧客を増やせるかどうかになります。

マーケターの手元にあるのは、割引クーポンをばらまいた顧客とばらまかなかった顧客、そして吉野家で牛丼を食べたかどうかのデータです。
以前のマーケティング担当者がランダムにクーポンをばらまいていたことが重要なポイントです。

このデータから、顧客は以下の4分類に分かれます。

  • 無関心:割引クーポンをばらまこうが我関せず。そもそも吉野家に行く気はない。
  • 説得可能:普段、牛丼が安いすき屋にばかり行っているが、割高に感じている吉野家に負い目を感じている。割引クーポンで揺さぶられ来店する。
  • 天の邪鬼:吉野家コピペのように、割引クーポンを握りしめた家族連れに遭遇したくないので、割引クーポンをばらまかれたら来店しないような客。
  • 鉄板:毎日決まった時間に吉野家に行くことを心に決めている客。

マーケターは割引クーポンをばらまいた顧客と割引クーポンをばらまいていない顧客にデータを二分し、それぞれ機械学習のための訓練用データとテスト用データを用意します。

つまり、「割引クーポンをばらまいた顧客」の訓練用データとテスト用データと「割引クーポンをばらまいていない顧客」の訓練用データとテスト用データの計4つのデータセットを用意します。

まず、牛丼の購入の有無を教師とした訓練用データでロジスティック回帰モデルなどを推定します。
その結果、「割引クーポンをばらまいた顧客」から推定したモデルと、「割引クーポンをばらまいていない顧客」から推定したモデルが手元に残ります。

2つのテスト用データを1つにまとめて、先程推定したモデルを用いて、牛丼の購入確率を求めます。モデルは2つあるので、予測結果がテスト用データ1つに対して2つあることになります。

その予測結果の比(「割引クーポンをばらまいた顧客」モデルベースの予測値÷「割引クーポンをばらまいていない顧客」モデルベースの予測値)をアップリフトとみなします。

以下の図はこれまでの説明を図にしたものです。

アップリフトがどの程度の水準であれば、説得可能なユーザーが多いのかを探っていくことで、吉野家のアプリにおいて、どのユーザーに割引クーポンを発行するべきかがわかることになります。

Uplift Modelingのサンプルデータ

残念なことに吉野家のアプリのデータはありません。そこで今回は公開データを利用します。
以前より、The MineThatData E-Mail Analytics And Data Mining ChallengeのメールのデータがUplift Modelingで非常にしばしば取り上げられるデータでしたが、Twitterで他にデータないのかとぼやいたところ、2名の方にCriteo Uplift Prediction Datasetを紹介していただきました。

余談ですが、Criteo社と言えばディスプレイ広告のキング的な存在で、少し商品のリンクを踏んだだけであっという間に広告がレコメンドされますよね。自社で出稿用バナーを作っていましたが、CVRが高くなる良いクリエイティブを作ってきたのか、単にCriteo社のアルゴリズムが優秀なだけなのか非常に気になるところでしたね。

Criteo社が提供してくれている今回のデータは、2500万行に及ぶユーザーのデータで、プライバシー保護の観点から特徴量は復元できないような形式で提供されています。バイナリーのラベルとしては訪問やコンバージョンなどがあり、データ全体に占める処置群の割合は84.6%となっています。要は、吉野家で言う割引クーポンをばらまいた顧客が全体の84.6%に及ぶということです。

tools4upliftについて

2019年1月に公開されたRのUplift Modeling用のパッケージです。

  • 特徴量における連続値をカテゴリ変数にする際に、最適な階級値を求めてくれる関数
  • アップリフトモデリングの可視化する関数
  • アップリフトモデリングにおける特徴量選択ができる関数
  • アップリフトモデリングにおけるモデルのバリデーションを行う関数

などが提供されており、ちょいとRを触れるマーケターにとって、アップリフトモデリングにおける試行錯誤がかなりしやすくなる便利なパッケージだと思いました。
なお、このパッケージで扱っているモデルはロジスティック回帰になります。介入データをもとに推定したモデルの条件付き確率と非介入データをもとに推定したモデルの条件付き確率の差をアップリフトとして推定しています。

このパッケージの解説論文においては、アップリフトモデリングの評価指標としてQini曲線というものが提案されていました。Qini曲線はローレンツ曲線のようなもので、Qini曲線とランダムに割り当てた際のアップリフト量の差分の合計をQini係数と定義しています。

tools4upliftでCriteoデータを試してみる

こちらはアップリフト値の予測値の上位から右に並べた際のアップリフトの増大のグラフになります。20%あたりでピークになるようです。

こちらはアップリフト量の棒グラフです。20%の階級値を超えたらガクンと下がるのがわかります。

なお、Qini係数は0.03233551でした。

『仕事ではじめる機械学習』の9章のコードをCriteoデータに試してみる

tools4upliftの結果を鵜呑みにするのもあれなので、『仕事ではじめる機械学習』の9章のコードを使ってアップリフトモデリングを実践してみます。コードは丸パクリですが、謹んで掲載させていただきます。

こちらの図はアップリフト値の階級値ごとのCVRです。最上位のアップリフト値はCVRの差が大きいですが、上位40~50%程度のアップリフト値のときにCVRの差が最も大きいようです。

アップリフト値の順位とCVRの図です。順位が低くても処置群のほうがCVRがわずかに高いようです。

アップリフトのスコアとCVRの関係です。2未満であればCVRは処置群が上回っていますが、一様な傾向はなさそうです。

コンバージョンレートの差に対象群の人数を掛けることでliftを算出したものです。アップリフトスコアが1~2点であれば儲かるようです。

tools4upliftと出している指標が違うので比較ができないのが難点に思いました。tools4upliftはオートマチックな感じで便利なのですが、『仕事ではじめる機械学習』の9章を正義として進めたいので、どうにか揃えれるようにしていきたいと思います。

おわりに

tools4upliftというマーケターにとって銀の弾丸になりそうなパッケージの存在を知ることができ、実際に非常に便利そうな関数が用意されているのがわかりました。ただ、開発されたばかりのパッケージなのでそこまで結果を信じていません。『仕事ではじめる機械学習』本の結果と揃えたいなと思いました。その点がはっきりすれば業務で使ってみるのも良いですし、任意のマーケターに安心して共有できると思います。

参考文献

[1] 有賀康顕・中山心太・西林孝 (2018) 『仕事ではじめる機械学習』 オライリージャパン
[2] Mouloud Belbahri, Alejandro Murua, Olivier Gandouet, Vahid Partovi Nia (2019). “Uplift Regression: The R Package tools4uplift”, arXiv:1901.10867 [stat.AP]
[3] ohke (2019) 「Uplift modelingで施策が効く人を見極める」 け日記
[4] usaito (2018) 「Uplift Modelingで介入効果を最適化する」 Qiita

ABEJA SIX 2019の1日目に行ってきましたレポート

今日は午後から有給をいただいて、ABEJA SIXの1日目に行ってきました。印象的だなと感じたものに関して、つらつらと雑記を載せておきたいと思います。


こちらは品川グランドプリンスホテルの庭園です。


こちらは会場の雰囲気です。


ブースの様子1です。


ブースの様子2です。

ABEJA SIX 2019

「食事画像認識モデル開発プロジェクトでの10個5個の教訓」 株式会社FiNC Technologies 南野 充則 氏

  • FiNCは450万ダウンロードされているヘルスケア系のアプリを開発している会社。
  • ユーザーの継続率を高めるための施策として、機械学習を用いている。
  • 今回の紹介事例ではユーザーの食事に関する情報を入力する手間を機械学習で短縮させ、短縮させることで継続率を高めることを狙っている。
  • 食事の画像は1日に数万枚がアプリに投稿される。
  • 食事の画像から栄養価などを計算することを目指している。
  • 食事レシピ認識モデルでは、画像からレシピを識別し、メニューの量(グラム数)なども推定し、カテゴリ単位で決まっている栄養価から推定している。レシピ本の情報を入力したり、レシピサイトをクローリングし、レシピを一人あたりの栄養価になるように標準化などもしている。きれいな画像と栄養価(材料何グラムか)の伴ったクリーンなデータセットを用意するために自社のキッチンに料理人を呼び2000レシピ分の料理を作ったとのこと。
  • 食材認識モデルでは食材一つ一つ(トマト一つとか、キャベツ一枚とか)を識別して、栄養価を素材単位で計算している。
  • 学習の結果、管理栄養士よりも3%程度の誤差でメニューの栄養価を推定可能になった。
  • 開発期間は6ヶ月間。
  • 東大の松尾研にアドバイスをもらっているらしい。

5つの教訓

  • 1.DL/ML人材をソフトウェアエンジニアから輩出すべき
    インフラ、サーバー、DB、パフォーマンスなどに明るいソフトウェアエンジニアが機械学習や深層学習を学ぶと、分析も実装もできる頼もしいメンバーになるので、ソフトウェアエンジニアのデータサイエンティスト化に注力しているらしい。目指すは論文のリプリケーションができるレベルとのこと。
  • 2.データ取得から学習までのPDCAを最速にする
    ユーザーが画像を出したあとのフローをしっかりしていなかった。予期せぬデータが入ってくるので、そこへの対応も必要。アノテーションした項目を再学習するような仕組みを作り、そばの画像が苦手であれば、そばの画像を集中的に集めて学習させる。
  • 3.オペレーションは自社で構築せよ
    泥臭い仕事と思い、丸投げしてはいけない。データセットの質が最も大事。データセットの質を担保するには評価手法を理解し細かいオペレーションを作る必要がある。アルバイトも自社で雇用、マネジャーもエンジニアとすることで当事者意識も芽生えやすい。
  • 4.評価方法の決定からプロジェクトを始めよう
    AIを使えば、想像を超える何かが出てくると期待していまうフシがある。評価の仕方を決めたほうが、メンバーのゴールが見えるし。やりやすい。10%以内の誤差の難易度がどの程度なのかわからなかったりするし、解釈の多様性が生まれてしまうこともある。
  • 5.プロジェクトはアジャイルで進めるべき
    作ったことのないモデルを作る際にスケジューリングを引くことは難しい。SOTAくらいいけますよと言ってしまい、自らを苦しめることになりかねない。

「機械学習におけるクラウド活用のポイント」 アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 針原 佳貴 氏 & 宇都宮 聖子 氏

  • SageMakerいいぞというお話。
  • ビジネスにおいて、機械学習を進めるに際して重要なポイントは、
    「ビジネス価値に落とし込む」
    「データの流れを理解する」
    「自分の力で頑張らない」
    の3点が挙げられていた。
  • 必要ではあるが、付加価値にはつながりにくい作業のことをUndifferentiated heavy liftingと呼ぶらしい。
  • 機械学習プロジェクトを回す際に重要なこととして、
    データ取得

    データ前処理

    モデルの開発・学習

    モデルの評価

    モデルの変換(エッジデバイスに送るにはデータを小さくする必要がある。)

    本番環境のデプロイ

    監視・評価データ変換
    のループを繰り返すことが挙げられている。
  • S3(Simple Storage Service)に蓄積しているデータがあったとして、そのデータに対して、SageMakerで前処理やら機械学習を行い、学習済みの結果をS3にためれば、それを用いてエンドポイントの推論としてカジュアルに活用することができる。S3→SageMaker→S3のコンボが良いとのこと。
  • ここ1年間で200個くらいAWSのサービスやら機能が増えているので、それを知るだけでも大変そう。でもうまく使えば、Undifferentiated heavy liftingを避けることができる。
  • わからないことがあれば、ソリューションアーキテクトに質問したり、SageMakerのSlackで聞いたりすると良いらしい。
  • SageMakerでの学習の進め方としては3種類ある。1つ目は、TensorFlowなどでゴリゴリとアルゴリズムを書く。2つ目はAWS Marketplaceで販売されているアルゴリズムを時間単位で課金して使う。3つ目はAWSのビルトインのアルゴリズム(Object Detection、Semantic Segmentation、Factorization Machineなど)を使う。

「少数データからの学習法の展開とABEJAの取り組み」 株式会社ABEJA 藤本 敬介氏

  • データの質がモデルの結果を左右するが、きれいなデータを大量に集めるためにアノテーションをやるのは大変。少ないデータでも性能を出したい。
  • アプローチとしては、Data Augmentation、Transfer Learning、Meta learningの3つがある。

Data Augmentation(データ拡張)

Transfer Learning(転移学習)

  • 異なるデータセットで学習したものを再利用する。
  • Fine-tuning:別のデータで学習済みのモデルに対して、タスクに対してのデータに適用する。
  • Domain Adaptation:学習済みのモデルやデータの知識を再利用する。
  • Fine-tuningは有効な手段。

Meta learning

  • タスクの学習のしかたを学習する
  • 少数のデータでのうまい学習方法を訓練しておいて、それを使い回す。

ABEJAの取り組み

  • データが少ない場合はFine-tuningで高精度を出しやすい。
  • External Network:中間層の情報を利用して、例外的な処理(ネットワークにバイパスみたいなものを通す)をすることで、Fine-tuningした際に精度が落ちないようにしている。不均衡データやクラス追加に対して強い手法とされている。データ数に応じてExternal Networkのサイズを調整でき、クラス1に大量のデータがある場合、1だけネットワークを深くして、2やら3はネットワークを浅くするなどの柔軟な対応が可能。これでもって不均衡データに対応できるとのこと。また、クラス追加に関しては、追加したクラスの分だけ学習すればいいようにネットワークの学習ができるらしい。ただし、学習に時間がかかるとのこと。
  • (よくわからないが)Model-Agnostic Meta-Learning(MAML(マムル))を応用したら精度が高まるらしい。

うーん、DNNは全然追いかけれていないので断片的にしかわからなかった。悔しいものです。

「Deep Learningの都市伝説と現実」 株式会社ABEJA 白川 達也氏

  • リサーチャーをする上で大事なこととしては、
    1.先に見つけること
    2.シンプルに解くこと
    3.先に失敗する(大きな失敗は会社としてしないために)
    の3つがある。
  • クリーンなデータで学習したほうが精度が高くなりやすく、過学習しにくい。ラベルの精度が高ければ、高いほどよい。Big Clean Data + DLで勝つる?
  • アノテーションは簡単ではない。アノテーターごとにわかりやすい情報がバラバラで、ブレるのが本質的。どこまでやるのか、どこが基準なのかというフレーミングとアンカーリングが重要。人間とかタスクを理解してすすめるのが良い。
  • 半教師あり学習(アノテーションされていないデータを使って精度向上させる取り組み)も魅力的だが、教師データを増やしたほうが効率的。アノテーションできるならば、アノテーションしてしまおう。事前学習も意味があるので行う。
  • 次にどんな技術がくるのか? Graph Convolution、Annotation、Poincare Embeddings、ML in Hyperbolic Space
  • Taskonomyという研究が今後熱くなるかも。見たこともないタスクも解けるという柔軟性を持つモデルが構築できる?

感想

機械学習で精度を出すためにそこまで頑張るのか!という事例を聞けたり、知識として不足していたAWS系のサービスの話を聞けたり、自分の足りていない知識を補えた良いイベントだと思いました。

学習済み分散表現を用いた文書分類に挑戦(一部再学習も)

はじめに

2018年9月のテキストアナリティクスシンポジウムに行った際に、学習済みの分散表現で事前学習したモデルを使って分類してうまくいく事例が紹介されていました。
全てのタスクにおいてうまくいくとは思えませんが、試すコストはあまりかからないので試してみます。

2017年のテキストアナリティクスシンポジウムにおいても、メルカリやGunosyでは分散表現を用いた手法が一番精度が高いと言われていましたし、今年の会ではNLP系の学会でも分散表現はデファクトスタンダードになっているという話も伺いました。
2013~14年はLDAを使った研究が多かった気がしますが、徐々にシフトしていっているんですね。

これまで(Word2Vecを用いて蒙古タンメン中本の口コミ評価を予測してみる)は4000件程度の蒙古タンメン中本の口コミの情報を元に分散表現を手に入れていましたが、学習済みの分散表現を用いたアプローチも有効かもしれないと思い、試してみようと思います。

分類タスク

某グルメ口コミサイトの蒙古タンメン中本の口コミのテキストから、3.5点以上の評価かどうかを予測するタスクを扱います。
本当は、ポケモン図鑑の説明文から水やら炎やらのタイプを予測するとかをしたいのですが、あいにく手元にデータがないので、以前集めた蒙古タンメン中本の口コミを使います。(実は後日、ポケモン図鑑のデータを集めたのですが、平仮名にまみれたデータな上に、データ数も800件しかなかったので、どのみち厳しかったです。)

学習済み分散表現

Word2Vecなどで大量の文書をもとに学習させた分散表現のことを指します。
大規模コーパスで分散表現を手に入れる際は、数十GBにも相当するテキストデータを数時間かけて推定するので、学習済みのモデルは非常にありがたいです。(4年前に会社のPCで計算した際は、12時間くらいかかったこともありました。)

無料で提供してくださっている分散表現については、すでにこちらのブログで紹介されています。そこで紹介されているものに少し付け足すと、日本語の分散表現に関しては以下のようなものがあります。

  • 白ヤギコーポレーションのモデル:Gensim
  • 東北大学 乾・岡崎研究室のモデル:Gensim
  • Facebookの学習済みFastTextモデル:Gensim
  • NWJC から取得した単語の分散表現データ (nwjc2vec):Gensim
  • NNLM embedding trained on Google News:TensorFlow

そこで、今回は各種学習済み分散表現と蒙古タンメン中本コーパスで求めた分散表現の文書分類の性能バトルをしてみたいと思います。
ただ、分散表現ではなく、単語の頻度をもとに特徴量を作ったものが一番精度が高いのですが、分散表現同士の比較でもってどの学習済み分散表現が中本の口コミ分類に役に立ちそうなのかを明らかにしようと思います。(本来は分析という観点から即でボツですが、見苦しくも比較していきます。)

前処理

前処理は以下の通りで、テキストデータを分かち書きして、数値や低頻度・高頻度語を除外しています。

処理を施すとこのようなデータになります。

特徴量は、scikit-learnのCountVectorizerやTfidfVectorizer、分散表現の合計・平均・TF-IDFを求めたものを用意します。

蒙古タンメン中本の口コミ4000件から作成した分散表現:Gensim

まず、以前のブログで紹介した蒙古タンメン中本の分散表現ですが、以下のように推定しています。

Pipelineを用いてExtraTreesClassifierによる学習をします。特徴量は先程あげた、テキストベースのCountVectorizerやTfidfVectorizer、分散表現の合計・平均・TF-IDFで、評価指標はAUCのクロスバリデーションスコアとします。

汗に関してコンテキストの似ている単語を抽出しています。

結果は、以下の通りで、分散表現を使わない方がAUCが高いです。ただ、w2v_tfidf(分散表現のTF-IDFを特徴量にしたもの)が分散表現の中でAUCが高いようです。今回はこの60.5%をベースラインに比較していこうと思います。

白ヤギコーポレーションのモデル:Gensim

こちらのリンク、「word2vecの学習済み日本語モデルを公開します」から、ダウンロードしてそのまま以下のコードでモデルを扱えます。

汗の関連語を抽出していますが、中国の歴史の何かですか?可汗とかいう単語は聞いたことあるかも。

まずは白ヤギさんの分散表現をそのまま使って予測してみます。(コードは先程のものとほぼ重複するので省略しています。)
残念ながら、ベースラインの60.5%には至りませんでした。

hogehoge.modelというフルモデル形式の場合は、再学習が可能です。詳しくはこちら(models.word2vec – Word2vec embeddings model)に書かれています。

今回は、白ヤギさんの分散表現に対して、追加で蒙古タンメン中本のテキストを食わせて再学習させます。

ベースラインの60.5%よりも下回り、さきほどの白ヤギさんのもともとの分散表現よりも下回りました。

再学習してもかえって精度が下がったりすることから、簡単に精度が出るわけではなさそうです。まぁ、理想はその適用領域での大量のテキストデータがあることで、Wikipediaを元に作成した分散表現に強く依存しても駄目なのだろうと思われます。

東北大学 乾・岡崎研究室のモデル:Gensim

日本語 Wikipedia エンティティベクトルからダウンロードした学習済み分散表現を用います。ダウンロード後は普通に「gzip -d file.txt.gz」みたいにターミナル上で解凍します。以下のコードを実行すればすぐに使うことができます。
ただし、KeyedVectors形式のものは白ヤギさんのように再学習ができません。(Why use KeyedVectors instead of a full model?

汗の類似語に関しては、難しい単語が高めに出ているようです。

残念ながら、ベースラインの60.5%には至りませんでした。

Facebookの学習済みFastTextモデル:Gensim

FastTextはGoogleにいたTomas Mikolov氏がFacebookに転職されて作られた分散表現を求めるためのモデルです。Gensimでも呼び出せます。学習済みのものはこちらのGitHub(Pre-trained word vectors)にあるのですが、NEologdで形態素解析したものをベースに学習し公開されている方がいるとのことで、こちら(fastTextの学習済みモデルを公開しました)からダウンロードしたものを使わせていただきました。

何だこれはレベルの結果が返ってきました。中国の歴史上の人物か何かなんでしょうか。

若干ですがベースラインの60.5%よりも良い結果が得られましたが、 誤差の範囲な気がします。

NWJC から取得した単語の分散表現データ (nwjc2vec):Gensim

国立国語研究所の収集されたテキストデータを元に学習した分散表現が提供されています。ただし、利用するためには申請する必要があります。申請が受理されたらこちら(NWJC から取得した単語の分散表現データ (nwjc2vec) を頒布)からダウンロードして使えます。

汗の関連語ですが、うまく関連付けれているように思われます。少なくとも中国史ぽくはありません。しかしながら、顔文字まで学習していたとは。

ベースラインの60.5%よりも1%ポイントほど高い結果となりました。

NNLM embedding trained on Google News:TensorFlow

こちら(tensorflow-hubで超簡単にテキスト分類モデルが作成できる)で紹介されているように、GoogleがTensorFlowでGoogleニュースのテキストをもとに学習した分散表現が提供されています。

こちらのGitHub(NNLM embedding trained on Google News)から、Japaneseのnnlm-ja-dim50、nnlm-ja-dim50-with-normalizationなどが使えます。分散表現の説明についてはこちらのドキュメント(Token based text embedding trained on Japanese Google News 6B corpus.)にあります。

AUCが65%となっているものの、先程のsklearnでのクロスバリデーションのものとの比較ではないので、なんとも言えないですが、Googleニュースのデータだし結構精度が出そうな可能性を感じますね。
今後、TensorFlowでクロスバリデーションによるAUCスコアの出し方を調べてみて、順当に比較できるようにしたいです。(Kerasを使って計算している事例は見つけた。)

比較

今回の分類タスクはそもそも分散表現では精度が出なかったのですが、学習済み分散表現の中で序列を作るとすると、梵天が一番良く、FastTextが少しだけ良かったです。
TensorFlowをほぼ業務で使わないので、Googleニュースの分散表現を今回の比較対象にできなかったのですが、後日比較できるようにしたいと思います。

あと、今回の口コミの点数を当てるタスクよりも、分散表現にとって相性がいいタスクがあるかもしれないので、今回の結果で諦めることなく色々と試して行きたいです。

おわりに

様々なシンポジウムなどでスタンダードとなってきた分散表現ですが、学習済み分散表現をそのまま使って分類問題で役に立つのかを見てきました。残念ながら、口コミの評価予測タスクにおいては全然効果がなさそうでした。ただ、分散表現の中でもタスクによって相性の良い学習済み分散表現がありそうです。
先程も述べたように、理想は大量のテキストデータで学習した分散表現を求め、それを予測に使うことなので大量のテキストデータを集めて再チャレンジしたいです。どれくらいのテキストデータがあれば十分なのかの規模感もわからないので、実践あるのみなんですかね。

参考情報

Word Embeddingだけで文書分類する
tensorflow-hubで超簡単にテキスト分類モデルが作成できる
Error: ”Word2vec’ object has no attribute index2word
Word2vec Tutorial Online training / Resuming training
Word Embeddingモデル再訪
Googleの事前学習済みモデルを手軽に利用出来るTensorFlow Hub
ゼロから作るDeep Learning ❷ ―自然言語処理編

蒙古タンメン中本コーパスに対してのLDAの適用とトピック数の探索

モチベーション

前回の記事では、Webスクレイピングにより入手した、蒙古タンメン中本の口コミデータに関して、Word2Vecを適用した特徴量エンジニアリングの事例を紹介しました。
今回はせっかく興味深いデータがあるので、どのようなトピックがあるのかをLDAを適用したいと思います。加えて、これまで記事で扱ってきたLDAの事例では評価指標であるPerplexityやCoherenceを扱ってこなかったことから、トピック数がどれくらいであるべきなのか、考察も含めて行いたいと思います。以前扱った階層ディリクレ過程であれば、トピック数を事前に決める必要が無いのですが、今回は扱わないものとします。

環境

・MacBook Pro
・Python3.5
・R version 3.4.4

Gensimで行うLDA

今回もPythonのGensimライブラリを用いて行います。

  • パープレキシティ
    • テストデータに対して計算
    • 負の対数尤度で、低いほどよい。
      • パープレキシティが低いと、高い精度で予測できるよい確率モデルと見なされる。汎化能力を表す指標。
      • トピックの数をいくらでも増やせばパープレキシティは下がる傾向が出ている。
      • 教科書でのパープレキシティの事例に関しては、トピック数を増やせば低くなるという傾向が出ている。

以下のコードでパープレキシティを計算します。

実際に、中本コーパスで計算したトピック数に対してのパープレキシティは以下のように推移しました。

Ldaのモデル選択におけるperplexityの評価によると、
”複数のトピック数で比べて、Perplexityが最も低いものを選択する。」という手法は人間にとって有益なモデルを選択するのに全く役に立たない可能性がある。”と記されています。

『トピックモデルによる統計的潜在意味解析』には、”識別問題の特徴量として使う場合は識別問題の評価方法で決定すればよい”とあるので、目的によってはパープレキシティにこだわらなくても良いと思われます。

今回のケースだと、パープレキシティだけだと、決めかねてしまいますね。

  • コヒーレンス
    • トピックごとの単語間類似度の平均
    • トピック全体のコヒーレンスが高ければ、良い学習アルゴリズムとみなす。

以下のコードでコヒーレンスを計算します。

実際に推定してみたところ、トピック数が20を超えたあたりからコヒーレンスが下がる傾向があるので、
それ以上のトピック数は追い求めない方が良いのかもしれません。

Rでもやってみる

Rでトピック数を決める良い方法がないか調べてみたところ、ldatuningとかいうパッケージがあることがわかりました。複数の論文(Griffiths2004, CaoJuan2009, Arun2010,Deveaud2014)で扱われている手法を元に、適切なトピック数を探れるようです。このパッケージを紹介しているブログの事例では、90から140の範囲で最適なトピック数となることが示されています。詳しくはこちらを見てください。
Select number of topics for LDA model

以下のコードで実行しました。一部、驚異のアニヲタさんのコードを拝借しております。なお、ldaパッケージのlexicalize関数を用いることで、ldatuningに入力するデータを作成することができます。

これを見る限りは、60〜70個の辺りに落ち着くのでしょうか。

トピックの吐き出し

Rでの結果から、60個程度のトピックで推定し、各記事に割り当てが最大のトピックを付与して、トピック別の口コミ評価をみてみようと思います。

以下のコードではトピック別の口コミ評価のしやすさからtopicmodelsパッケージを用いた推定となっています。

口コミ評価の点数が上位のトピックはこんな感じです。

口コミ評価の点数が下位のトピックはこんな感じです。

中本は社会人2〜3年目で新規メディアの立ち上げのストレス解消で数回行きましたが、北極の赤さは異常だと思います。北極を食べたり、トッピングする余裕のある人、ましてや辛さを倍にするという時点で口コミ評価も高くなると考えるのは自然なのかもしれません。

参考情報

トピックモデル (機械学習プロフェッショナルシリーズ)
トピックモデルによる統計的潜在意味解析 (自然言語処理シリーズ)
models.ldamodel – Latent Dirichlet Allocation
Ldaのモデル選択におけるperplexityの評価
pythonでgensimを使ってトピックモデル(LDA)を行う
gensim0.8.6のチュートリアルをやってみた【コーパスとベクトル空間】
LDA 実装の比較
Jupyter notebookにMatplotlibでリアルタイムにチャートを書く
Inferring the number of topics for gensim’s LDA – perplexity, CM, AIC, and BIC
Select number of topics for LDA model
47の心得シリーズをトピックモデルで分類する。 – 驚異のアニヲタ社会復帰への道

Word2Vecを用いて蒙古タンメン中本の口コミ評価を予測してみる

はじめに

word2vecを用いた分類は以前からやってみたいと思っていたのですが、関心を持てるテキストデータがなかったのでなかなか手を出していませんでした。
ある時、ふとしたことから某グルメ系口コミサイトから蒙古タンメン中本の口コミと評価点を抽出して、その評価をword2vecでやってみるのは面白いだろうと思いついたので、さっそくやってみます。
こういう時にはじめて、データ分析だけでなくクローリング屋としても業務をやっていて良かったなと思うところですね。
コードは以前見つけて紹介した「分散表現を特徴量として文書分類するための方法について調べてみた」のものを再利用します。

目次

・目的
・データ収集
・形態素解析
・集計
・分散表現とは
・word2vecについて
・gensimのword2vecの引数
・word2vecによる文書分類の適用
・終わりに
・参考情報

目的

某グルメ系口コミサイトの口コミを収集し、個々人の口コミの内容から個々人の店に対する評価が高いか低いかを予測する。

データ収集

BeautifulSoupで収集しており、各店舗あわせて数千件ほど集めました。(実行コードはこちらでは紹介しません。)

このようなデータが手に入っている前提で以下の分析を進めていきます。

形態素解析

文書を形態素解析して、名詞のみを抽出するためのコードを用意します。

先ほどのデータフレームに対して以下のように実行すれば、名詞のみの分かち書きを行ったカラムが手に入ります。

集計

点数のヒストグラム

3.5点から4点の間が最も評価が多いようです。1点台をつける人はほとんどいないことがわかります。

単語数のヒストグラム

大体の口コミで100単語未満のようです。

単語数と点数の散布図

どうやら口コミにおいて500語を超える記述をしている人は評価が3点を下回ることはないようですが、文字数と点数でキレイに傾向が出ているわけではないですね。

形態素解析結果の集計、単語ランキング

名詞の抽出に関して非常に便利なMeCab Neologdを用いています。蒙古タンメンもきちんと捉えることができています。

味噌よりも北極の方が出現しているようです。北極は言わずもがな、極端に辛い罰ゲームレベルの一品。味噌タンメンは辛さが抑えめのラーメンで、知人の間では最もおいしいのがこのレベルだという合意があったりしますね。

分散表現とは

  • 単語の意味を低次元の密な実数値ベクトルで表現したもの。
  • 入力層から中間層への重み自体が各単語の分散表現となっている。
  • 2017年9月のテキストアナリティクスシンポジウムにてメルカリとGunosyが特徴量として分散表現を活用しており性能が出ているとの発言があった。

word2vecについて

単語の分散表現を作ることを目的としている。

  • CBOW(Continuous Bag-of-Words)
    注目している単語の前後N単語を文脈と呼び、その文脈をBag-of-Words表現として入力し、注目している単語を出力するというニューラルネットワークを学習する。入力層から隠れ層への結合は単語の位置を問わず同じとし、隠れ層の活性化関数をただの恒等関数としている。
  • Skip-gram
    文脈のBOWを突っ込むCBOWとは異なり、入力層に1単語だけを入れる。1単語を入力し、正解データとして他の単語を入れることを繰り返して学習し、ある単語の入力に対して、どの単語の出現確率が高いかどうかを計算する。正解確率が上がるようにニューラルネットワークの重みを調整する。深層学習で使われる自己符号化器と似たような構造とされている。

gensimのword2vecの引数

gensimのword2vecには数多くの引数が存在します。gensimのドキュメントに英語で書かれていますが、せっかくなのでこちらで紹介します。

  • sentences
    解析に使う1行1センテンスで書かれた文書。日本語の場合はLineSentenceフォーマットを使えばうまくいった。単語が空白文字で区切られていて、文章は改行で区切られていれば問題ない。
  • sg
    {1,0}の整数で訓練アルゴリズムを設定できる。 1を選べばskip-gramで、0ならばCBOWを使う。
  • size
    特徴ベクトルの次元を設定する。
  • window
    文書内における現在の単語と予測した単語の間の距離の最大値を設定する。言い換えると、文脈の最大単語数を設定する。
  • alpha
    学習率の初期値を設定する。
  • min_alpha
    訓練の過程で徐々に落ちていく学習率の最小値を設定する。
  • seed
    乱数を生成する際のシード番号を設定する。
  • min_count
    一定の頻度以下の単語を除外する際の値を設定する。
  • max_vocab_size
    語彙ベクトルを構築している際のメモリ制限を設定する。
  • sample
    (0, 1e-5)の範囲で、頻度語がランダムに削除される閾値を設定する。高速化と精度向上を狙っており、自然言語処理においても高頻度語はストップワードとして除去するなどの対応が取られている。
  • workers
    モデルを訓練するために多くのワーカースレッドを利用するかどうか設定する。(並列化関連)
  • hs
    {1,0}の整数で、1であれば階層的ソフトマックスがモデルの訓練で用いられ、0であり引数negativeがnon-zeroであればネガティヴサンプリングが設定できる。全部計算することが大変なので、階層的なグループに分けて各グループごとに学習するというのがモチベーション。
  • negative
    0よりも大きければネガティブサンプリングが用いられる。5〜20などを選び、どれだけノイズワードが描かれているかを識別する。0であればネガティブサンプリングが適用されない。ネガティブサンプリングは計算高速化を目的に出力層で正解ニューロン以外のニューロンを更新しないように学習する手法。
  • cbow_mean
    {1,0}の整数で、0であれば単語ベクトルの合計を用い、1であればCBOWが用いられた際の平均が用いられる。
  • hashfxn
    訓練の再現性のためにランダムに初期値のウエイト付けできる。
  • iter
    コーパスにおける繰り返し回数(エポック数)を設定できる。
  • trim_rule
    ある単語を語彙に含めるべきかどうかを識別する、語彙のトリミングルールを設定する。
  • sorted_vocab
    {1,0}の整数で、1であれば頻度の降順で語彙を並べ替える。
  • batch_words
    ワーカースレッドにわたすバッチの大きさを指定する。(並列化関連)
  • compute_loss
    Trueであれば損失関数の計算と蓄積を行う。
  • callbacks
    訓練時の特定の段階で実行する際に必要なコールバックのリストを指定できる。

word2vecによる文書分類の適用

口コミの点数が4点以上であれば1、そうでなければ0を取る変数を作成し、それをラベルとして文書分類を行います。
以前、紹介したブログ同様に、scikit-learnのExtraTreesClassifierを用いてCountVectorizerとTfidfVectorizerを特徴量としたものをベースラインとして、同様の手法に対してword2vecで作成した分散表現を特徴量として用いたものとを比較します。評価指標はクロスバリデーションスコア(5-folds)とします。